コミュニティサービスを運営する上で、コミュニティの秩序を乱す、いわゆる「荒らし」に出会うことがあります。 なかなか言及しづらいテーマですが、筆者の経験談を元に、いくつか参考になるかもしない対策方法を書いてみます。

「荒らし」の定義

このテーマに言及しづらいのは、いわゆる「荒らし」と呼ばれる存在もまた人だからだと思います。

どういう存在を「荒らし」と定義するかは、運営側の主観によるところであり、一概にはいえません。 この記事では、便宜的に「コミュニティの生態系を大きく壊すようなアクションをサービス内で繰り返すユーザ」とします。

たとえば、他のユーザを攻撃したり、公序良俗に反する投稿を繰り返し行なうユーザなどが「荒らし」にあたるものとします。

また、この記事は、よりよいコミュニティづくりのための知見を共有することを目的としています。 決して「荒らし」を行なう人の人格などを否定するものではありません

その点、どうかご理解いただいた上で読み進めてください。

完全な対策は不可能

この問題の帰結するところは、結局は人と人とのコミュニケーションの問題、ということです。 対策方法に正解はありません。

運営側の理想とする秩序を実現するための対策は不可能で、せいぜい「荒らされても運営に支障をきたさない対策を行なう」くらいだという結論にいたっています。

それをふまえた上で、参考程度にご覧ください。

対策

それでは、具体的な対策をいくつか示します。 各項目で、効果が見込めそうなものをいくつか組み合わせて対策とします。

  1. メールアドレス認証をやめる
  2. メールアドレスの登録を制限する
  3. OAuth認証のみにし、そのSNS上でのコンタクトを示唆する
  4. Facebook登録を強制する
  5. 単語をフィルタリングする
  6. ユーザステータスを設ける
  7. 報告機能を実装する
  8. フォロー機能を実装する
  9. ミュートやブロック機能を実装する
  10. 利用規約に禁止事項を明記する
  11. 運営者が表に出ない
  12. 時間に解決してもらう

それぞれについて、簡単に説明します。

1. メールアドレス認証をやめる

筆者がコミュニティサービスを運営していた際、荒らしを行なうユーザの多くがメールアドレス(いわゆる捨てアド)による認証を行なっていました。

これをやめたところ、「荒らし」が大きく減ったため、一定の効果が見込めそうです。

2. メールアドレスの登録を制限する

どうしてもメールアドレス認証をやめられない場合は、同じメールアドレスでの登録を1回のみに制限する方法もあります。

後述するユーザステータスと組み合わせれば、アカウントを再開した際もそのステータスが引き継がれるため、同じメールアドレスでの荒らしを防ぐことができます。

3. OAuth認証のみにし、そのSNS上でのコンタクトを示唆する

荒らしを行なうユーザの中には、自分の行動がそのサービス内だけで完結するものと認識している人もいると思います。

そういったユーザに対しては、たとえばそのユーザがTwitter認証を行なっていた場合、Twitter上でそのアカウントに対して自制を呼びかけることも効果があります。

この場合、利用規約やサインアップフォームでその旨を明記しておく必要があるでしょう。

4. Facebook登録を強制する

簡単かつ高い効果が見込めるのは、認証をFacebook認証のみにすることです。

ただ、Facebook登録に抵抗をもつユーザも少なくはなく、リーチできるユーザは少なくなってしまいます。 Facebook認証のみで問題ない場合などに採用しましょう。

5. 単語をフィルタリングする

ユーザが投稿するコンテンツを単語ベースでフィルタリングすることにより、不適切な投稿をある程度防ぐことができます。

ただ、荒らす人はフィルタリングの穴を突いて投稿したりするため、あまり効果が高いとはいえません。

6. ユーザステータスを設ける

hidebanといったステータスを段階的に設け、ユーザの利用状況に応じてステータスを設定します。

これにより、たとえばTwitterのようなサービスの場合

  • hide:(検索などの)パブリックなタイムラインに表示されない
  • ban: アカウント凍結

のように、ユーザが投稿したコンテンツを制限することができます。

ただ、荒らしを行なうユーザが、このステータス付与を運営が手動で行なっていると知った場合、運営に対する攻撃的な投稿を繰り返すようになる可能性があります。 これはサービスのブランドイメージの低下につながるため、避けたいところです。

ユーザのステータス付与は可能な限り自動化し、その旨も利用規約などで明記した方がよいでしょう。 後述する報告機能と組み合わせると効果的です。

7. 報告機能を実装する

ユーザの投稿などを運営側に報告する機能を設けることで、以下のようなメリットがあります。

  1. 問題のある投稿にいち早く気づくことができる
  2. 報告されるおそれがある、ということが「荒らし」に対する抑止力になる
  3. 報告者に対して、対象ユーザの投稿を非表示にできる
  4. 一定数以上の報告でユーザステータスをhidebanにする、という運営側としての大義名分を得られる

荒らしを行なう人に対処する際、気をつけなければならないのは「運営側の意志を介在させないこと」です。 このため、特に4は大きなメリットといえます。

8. フォロー機能を実装する

フォローした人だけのコンテンツを閲覧する仕組みにすることで、自分が見たいコンテンツだけを見ることができ、また荒らすメリットをなくすこともできます。

フォロー機能はサービスの性質を大きく変えるため慎重に検討すべきですが、荒らし対策としても有効といえます。

9. ミュートやブロック機能を実装する

Twitterのような、他のユーザに干渉できる性質のサービスの場合、フォロー機能だけでは完全とはいえません。 この場合、同じくTwitterのようなミュート・ブロック機能がうまく機能するかもしれません。

10. 利用規約に禁止事項を明記する

コミュニティの生態系を壊すような行動を利用規約で禁止しておくことで、荒らしを行なうユーザに対して通知を出す際の効果的なツールになります。

むしろ、規約で禁止していないにも関わらずユーザのステータス変更などの対応をしてしまうのは、「荒らし」相手といえど運営にも非があると思います。 必要に応じて随時アップデートし、よい規約づくりをこころがけましょう。

11. 運営者が表に出ない

運営公式・運営者個人のものにかかわらず、SNS上で「荒らし」に対して言及することで、「荒らし」の行動を増長させかねません。 その周囲に広がり、炎上する可能性すらあります。

SNS上で発言したい気持ちはあるでしょうが、控えた方がよいでしょう。 ユーザとのかかわりがサービス運営のおもしろいところでもあると思うので、残念ではあるのですが……。

12. 時間に解決してもらう

過去にいくつかのサービスが「荒らし」対策を行ない、過度な対策の結果サービスが炎上してしまったという例もあります。 ただ、こうして時間が経ってしまえば、それについて言及する人も少なくなりました。

「荒らし」への対応を誤ったがあまりに失敗してしまっても、気に病むことはないと思います。 本当に使ってほしいユーザのために、でき得る改善を続けていきましょう。

「荒らし」の種類

いわゆる「荒らし」には、大別して2種類のユーザがいます。

1. 悪意のある荒らし

悪意をもってコミュニティを荒らすユーザに対しては、前述した方法などで毅然として対処すればよいでしょう。

運営側の意志を介在させず、あくまでシステム的に対応することが効果的だと思います。

2. 悪意のない荒らし

コミュニティ運営で難しいのは、「サービスにとっては不適切だが本人には悪意のない、サービス側のみが認識する荒らし」に対する対処です。 これを「荒らし」と呼称するのは不適切だと思いますが、あくまで本記事での便宜上そう記述します。

余裕がありさえすれば、対話をとおして相手との共通認識を探り妥結点を見つけるべきでしょうが、サービスが大きくなればこれも難しいでしょう。

こういったユーザに対しては、基本的に干渉せず、他のユーザからの報告などに応じて柔軟に対応すればよいと思います。

誰のために運営するのか

忘れるべきでないことは、「コミュニティは誰のために運営するのか」ということです。

本当に使ってほしいユーザのために、その人が快適に使ってくれるような環境をつくるべきではないでしょうか。

「荒らし」への対策は精神的に疲弊することもあるかもしれませんが、愛着をもって使ってくれるユーザのためにも、対策は努力すべき問題の1つだと思います。

おわりに

FacebookにもTwitterにも「荒らし」は存在します。 必要な対策はとりつつ、「荒らし」が無視できる程度のサービス規模になるよう、ひたすら運営を頑張ることが大事なのかなと思います。