サービスの設計において、他のサービスを参考にすることがあると思います。 法的・倫理的な議論はさておき、他のサービスの機能をそのまま導入しても、それが自分のサービスのユーザにとっていいものとは言えません。 ここでは、他のサービスを参考にするときに注意すべき点を述べます。

機能の本質を見抜く

Facebookには、投稿に対するコメント機能があります。 Facebookは友だちとのつながりこそがコアであり、コメント機能は友だち同士に密なつながりを生むことに寄与しています。

では、Twitterにコメント機能がついたらどうなるでしょうか。

Twitterにはリプライ機能がありますが、リプライの主役はあくまでリプライした本人であり、リプライ先のユーザとは疎結合を保っています。 Twitterでは自分がどのような投稿をしても、誰かのリプライが直接自分のフィードに表示される訳ではないので、Facebookに比べて投稿障壁が低いと言えるでしょう。

投稿に対する機能ひとつとってみても、FacebookとTwitterでは本質が異なります。 それぞれのサービスで、ユーザがどのようなコミュニケーションを望んでいるかを考えた結果だと思います。

コミュニティサービスをつくる上で、「Facebookのようなコメント機能を導入しよう」と安易に考ず、自分がつくろうとしているサービスのユーザがどういったコミュニケーションを望んでいるか、それを考えることで、よりよいサービスになるでしょう。

事例:最近見たコンテンツ

PC版のクックパッドには、画面右側に最近見たレシピが表示されます(2016年3月現在)。 クックパッドのユーザにとって、いろんなレシピを閲覧した上で、「今日はさっき見たレシピをつくろう」といったニーズがあります。 この機能は非常に理にかなっており、サービスの回遊性も上がると思われます。

一方で、一般的なメディアサービスにこの機能を導入したらどうなるでしょうか。 記事は基本的に一度しか読まず、再度読むケースは(少なくともレシピよりは)少ないでしょう。 将来的にその記事の内容が必要になると判断すれば、ソーシャルブックマークサービスなどを利用することも考えられます。

他のサービスで実装されているからといって、必ずしも自分のサービスに適する訳ではありません。 思考停止にならず、自分のサービスのユーザのことを考えて機能を検討する必要があります。

UIの意味を考える

デザイナーがいないチームにありがちなのが、「UIもそのまま真似する」というケースです。 もちろん倫理的な問題もあると思いますが、ユーザにとってもよくありません。

たとえば表示するコンテンツのUIについて。 FacebookやTwitterは「誰がその情報を発信したか」が重要なので、投稿者の写真や名前などが目立つように表示されています。

一方で、ニュースのような事実のみを伝えるコンテンツの場合、発信元は確認したいときに分かりさえすればよく、それよりもタイトルや本文といった内容が重要になってきます。

ユーザがそのサービスに求める情報によってUIは変わってきます。 似たような機能でも、本質を考えた上で、自分のサービスのユーザにあったUIを提供するよう心がけましょう。

たとえば、TwitterのいいねボタンがハートでなくFacebookのようなサムズアップだったら、気軽な投稿はできるでしょうか。 あくまで印象ですが、ハートだと帰属意識、サムズアップだと承認欲求を満たすアイコンのように感じられ、その意味でもTwitterにはハートの方が向いていると考えられます。

その他にも、フリマアプリの場合、少なくとも購入を検討していない段階では、出品者よりも商品の写真や値段といった情報の方が求められます。 代表的なフリマアプリの商品一覧画面に出品者の情報がないのは、こういった理由もあるのではないでしょうか。

利用シーンも考える

以上のことは、ひとえに機能だけではなく、ユーザの利用シーンにも当てはまります。 リビングでくつろぐ大学生、料理中の主婦、通勤中のサラリーマン、それぞれでスマートフォンの操作方法も変わってきます。

自分のサービスのターゲットユーザの利用シーンも想定した上で、機能をUIに落としこむ必要があります。

おわりに

他のサービスと自分のサービスではユーザは異なります。 機能の本質が似ていても、ユーザの属性が異なれば、落とし込んだ結果の機能は違ってくるはずです。 たとえそれが見当違いであっても、自分たちの頭で考えて機能に落とし込みさえすれば、それをもとに改善することができます。

他のサービスの機能は参考するまでにとどめ、その本質と自分のサービスのユーザとを照らしあわせた上で結論を出すことで、ユーザにとってよりよいサービスになるでしょう。