サービスを設計するとき、あるいはサービスに機能を追加するとき、その設計・機能が適切かどうかを判断する必要があります。 その判断の指標のひとつに、ユーザの利用モチベーションがあります。 これについて、考え方や事例をもとに解説します。

利用モチベーションとは

利用モチベーションとは、ユーザが「なぜそのサービスを利用するのか」、その動機のことをいいます。

この利用モチベーションを考えることで、つくろうとしているサービスが適切か、追加しようとしている機能が適切かを判断できます。 サービス制作の初期段階に仮定しておくことで、設計・追加に関する指針ができ、ユーザにとって重要なサービスをシンプルに提供することができます。

たとえば、一般的なメディアサービスであれば、ユーザ=読者であり、読者の利用モチベーションを考えればよいことになります。 この場合、読者が求めるコンテンツであるかどうか、といった内容になるでしょう。

もちろん、複数の役割を持つサービスの場合、それぞれにおいて考える必要があります。 たとえば小説投稿サービスでは、小説を投稿するユーザと、読者ユーザの両方の利用モチベーションを満たす設計でなければなりません。

仮に読者の利用モチベーションしか考慮しなかった場合、前提となる小説が集まらず、サービスが成り立たなくなってしまいます。

事例:クックパッド

利用モチベーションに関する事例として、クックパッドを見てみましょう。 クックパッドにおけるユーザの役割は2つ、(1)レシピの投稿者と(2)レシピの閲覧者があります。

ここで、投稿者・閲覧者それぞれの利用モチベーションを次のように仮定します。

  • 投稿者:レシピが評価されることで承認欲求を満たしたい
  • 閲覧者:レシピを閲覧したい、レシピをとおして帰属意識を満たしたい

このように仮定すると、クックパッドのサービスのコアこそはレシピですが、ユーザの利用モチベーション自体はレシピをとおしたコミュニケーション(つくれぽなど)によるところが大きいと考えられます。

上記を念頭においた上でサービスを回遊してみると、得られるものがあるでしょう。

ポイント制の導入は慎重に検討すべき

サービス設計においてよく議論されるテーマの一つとして、ポイント制の導入があります。 たとえばユーザがコンテンツを投稿し、その評価に応じてポイントを付与する、というものです。

ポイント制は、ユーザの利用モチベーションと一致しない場合、サービスの生態系を破壊してしまう恐れがあるため、注意が必要です。

ポイント制に関連して、かつて楽天レシピが話題になりました。 楽天レシピはユーザのレシピ投稿に対するインセンティブとしてポイント制を導入しました。 これは楽天内で使える仮想通貨であり、事実上の金銭インセンティブといえます。

ポイント制そのものが悪ではないのですが、レシピの投稿者の利用モチベーションがコミュニケーションであると仮定した場合、ポイント制はそれに水をさす制度となってしまいます。

ポイント制の導入に関しては、ユーザの利用モチベーションがポイント制とマッチしているかを慎重に検討した方がよいでしょう。

モチベーションをシンプルに仮定する

利用モチベーションを仮定する際、ユーザの役割ごとに1つのみであることが望ましいです。

「ユーザはこのサービスにあれもこれも望んでいるに違いない」と考えてしまうのは、ターゲットとするユーザのニーズを明確につかめていない可能性があります。 この結果、多くの機能を追加してサービスが煩雑になり、誰にも刺さらないサービスができあがってしまいます。

おわりに

もちろん、はじめから明確なモチベーションは定義できないと思います。 そういった意味での「仮定」です。 少なくとも仮定しておくことで、サービスを運用する上で検証〜改善することができます。

「なぜそのサービスを利用するのか」を仮定しておくことで、サービス設計の判断がしやすくなります。 特にチーム開発だと機能を思いつく人も増え、機能が煩雑になりがちです。 機能追加の指針を仮定しておくことは、よいサービスをつくる上で必須だといえるでしょう。